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経験

 6月17日の日曜日はパリ日本人保育園幼稚園の運動会です。今年もパリ市からサンランベール公園内をお借りして開催いたします。 
 障害物競走で4歳児は鉄棒を使います。練習のとき、初めて鉄棒を握る子もいました。まず月齢の高い子に前回転をしていただきます。鉄棒に飛び上がるのではなくお腹の部分までよじ登るようにするDちゃん、「イチ ニノ サン!」と、Dちゃんと一緒にリズムをとってDちゃんの背後から体をもちあげるとブラブラと両足を動かせてクルリと前に回転しました。無言のDちゃんに皆で拍手を送りました。2度目のDちゃんは自力で鉄棒に飛びつき体を回転させました。トイレに行く為、側を通りかかった年長組みの子どもたちが「Dちゃんじょうず~!」「Dちゃんすてき~!」と、拍手喝采をしてくださいました。「せんせい!する~!」と、数回目になるIちゃんが前に出てきました。「さいしょは だれだって できなかったんだよ」「やれば できるようになるんだよ」「がんばって~!」と、お友達に励まされながら何度も繰り返すのですが鉄棒に飛びつけません。背後から体を持ち上げてあげますと体を回転させる事が出来るのですが・・・。翌日「せんせい! てつぼう したい!」と要望しに来られたのがIちゃんでした。
 経験には二つのタイプがあります。一つは日常を何の吟味もなくただ習慣に基づいて生きる中で味わう“経験”です。もう一つの経験は、困難に直面したり、決断しかねる状況におかれたときに味わう経験です。前者は単に“経験された”と言うだけの消極的な意味しか持ちません。しかし後者はその経験に積極的に対応するか、その経験から背を向け逃げ去ってしまうか二者択一を子どもたちに迫ります。そして、その経験に積極的に立ち向かう中に、人間の成長の因が築かれていきます。
 困難に挑むとき自分の可能性を信じ積極的に立ち向かえる子どもは力を発揮していきます。自分の力を駆使して困難に立ち向かう事が肝要ですが、その経験がトラウマにならないように励まし、支え、未来への可能性をはらんだ結果、未来の成長の因となる結果を保育士と一緒に子どもにつくりあげていきます。子どもの自立心を尊ぶ人間教育が力を発揮するときです。


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