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純真な心を書く

 「日曜日の朝、少し遅めに起きたら、Lは既に起きて何かゴソゴソしているなと思っていたのですが、起きて見に行くと、少し不満そうにして『あ〜 いま おてがみ かこうとおもったのに〜』と。机の上を見たら2枚の 手紙がありました。二つとも同じ内容で一つはきれいに清書してありました。『ママ いつも ごはん つくってくれて ありがとう だいすき』と書いてあってとても感動し涙が出てきました。文字が書けるようになるとこんな素敵なことができるようになるのですね。疲れが吹き飛びました。」とLちゃんのお母様はLちゃんの連絡帳に書いていました。
 水曜日の幼稚園活動が終わった15時30分から16時45分まで希望者のみ日本語教室を受講します。Lちゃんも受講者の一人です。ほとんどの受講園児は日仏の二重国籍を持つ子ども達です。「せんせい つかれた〜」と言いながらも「せんせい みて すごいでしょう!」と、ノートを見せて下さいます。「一ページ、二ページ、三・・・、七ページ半、すご〜い 七ページ半も清書してきたのね、!」「せんせい Mのみて!」「すごい! 七ぺージ!」「せんせい Rのみて!」「 すごい! 十一ページ!」等々、全員のノートを見終わると「今日の清書チャンピオンは21ページのLちゃんでした〜」と発表し皆でLちゃんに拍手を贈ります。週に一回のこの授業を子ども達は楽しみにし、自分で意識しないうちに自分の思いを書けるようになっています。
 日本の国語の教科書を清書していくと、正しい日本語、美しい日本語の他にもいろいろな事が身に付いていきます。 国語の教科書を作られた諸先生方には深く感謝申し上げます。本当に有難うございます。
 Lちゃんの連絡帳を読み、井上靖の自伝的小説「わが母の記」の映画の中の親子を思い出しました。母は、母に捨てられたと思い続けてきたわが子が子どもの頃に書いた作文を大切に保管し、その作文の中にある「お母さんと渡る海峡」という文を抱きしめて生きていくのです。Lちゃんの書いたそのお手紙もきっと親子の絆を確認し合える宝物となることでしょう。
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