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本物に触れる

 お絵描き活動の時間に“バカンスの思い出”を描いてきました。完成作品が出てきだした昨今です。自分の目で見た空間を画用紙に写し取り、現実の空間がその中に存在するように描く、見つめてきた物を形の中に表していく、対象の中に入り込むように表面から奥へとまなざしを差し向け描いていく。絵を描くことは絵筆による思索です。
 Kちゃんは「スカイツリーにいった うえから ちっちゃくなったまちが みえた」と。Yちゃんは「ほんものの うみにいった もぐって さかなをさがしたが なかった くさみたいなの みつけた」と。別のYちゃんは「はたけのおじさん これ とまと いぬとねこ ほし」と解説して下さいました。Sちゃんは「サンミッシェルにいった いちじかんすぎたら うみきえるの うみがでてきたら うしろにいくの」とフランスのモン サン ミッシェルを取り囲む海水の満ち引きのお話をして下さいました。
 子どもの絵には許しがたいと思えることが全て出そろっています。山や川を包み込み海さえも心におさめて描きます。そこには、はめるべき枠というものはありません。フランスの巨匠セザンヌの絵も遠近法の狂い、建物や人物のゆがみ、塗り残し等、それでも、驚くべき『実感』がひしひしと伝わってくることに感嘆せざるをえないのは私一人ではないでしょう。子どもは皆、実感の巨匠なのです。実際に目にしたときの実感を再現し、永遠に絵に留めながら、少しずつ自分らしさを描いていきます。
 誰もがいかようにもなれる可能性を秘めています。しかし、自分ではそれをなかなか信じ切れないものです。その“不信”を打ち破る本物に触れたときの実感が、その子の人生を大きく開いていきます。次代を担う子ども達に本物を見せ“人はかくも自信を高められる”と五体で感じ自信を持ってほしいです。知識は書物から得られますが、知恵は自分で体験したことを通して身に付くものです。年一回、普段見られないフランス国の財宝を今年は9月20、21日に限り無料で誰でも見学することができます。精神の貴族制を重んじた フランス文化の香りを親子共々実感してみては如何でしょうか。
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